今日から俺達。 「善法寺伊作。白桜女子学院高等部三年。保健委員長」 携帯の文字を読みつつ、仙蔵はちらりと顔を上げた。 「それが、さくらの君、なんですか?」 藤内の言葉に、にやりと笑う。 あの衝撃のファミレス事件から一週間。地元の祭りもあったが敢えて誘わず、泳がせた甲斐があり、仙蔵たちはさくらの君こと善法寺伊作の名前を聞く事が出来た。 「保健委員会、別名不運委員会に中等部高等部六年間在籍。不運委員長とも呼ばれる。その性格は明るく素直。お姉さまと慕う後輩も多く、難攻不落の桜御前、だそうだ」 「お前、そんな情報どこで…」 文次郎が溜息と共にそう零す 「名前が分かれば相手を知るのは簡単だ。それとも何か? お前は気にならなかったのか? 彼女いない歴十八年を抜け駆けしたあの阿呆の相手が」 「あ、先輩達、彼女いないんですね」 「そうだぞ! 気が付いたら彼女作ってる暇なんて無かったんだ!」 小平太が嬉しそうに三之助の背を叩いた。その言葉に孫兵が意外そうに目を丸くする。目の前の男達はとても目立つし、先ほどから道行く女性の視線を集めていて、とてもではないがそんな悲しい経歴の持ち主とは思えない。 「簡単な気持ちで婦女子と付き合うわけにはいかん」 「文次郎は思考が昭和の親父だからだと思う」 「小平太どう言うつもりだ?」 「ん、そのままだぞ!」 今にも喧嘩を始めそうな二人をおろおろと藤内が見て、左門と三之助がわくわくと目を輝かせる。 「そっちも分かったぞ」 「え?」 「三反田数馬。白桜女子学院中等部三年、保健委員。委員長の善法寺伊作とは特に仲が良く、性格は温厚で天然。安らぎの菫姫、だそうだ」 「さっきから桜御前だの菫姫だのなんだ、それは」 「まあ、女子高の伝統みたいなものだな。姫だの君だの御前だの。私達だって十分阿呆みたいな通り名をつけただろう」 「まあ…」 「作の一目惚れの相手は三反田数馬って言うのか」 左門が目をきらきらとさせて藤内を見る。 「どんな子だろう?」 「さあ、まあ、温厚って言ってるから…」 ここまで情報を仕入れた仙蔵だったが、生憎本人たちの映像は手に入らなかった。なので、今日、こんな所に集まっている。 こんな所、とは仙蔵達の住んでいる場所からさほど離れていない公園。小さな森や湖もあり散歩するだけでも楽しめる場所だ。まあ、この暑い時期殆ど人気は無いけれど。 「孫兵」 「分かってる」 「ところで、藤内」 「はい」 「その縄は何だ?」 「あ、これですか? 迷子防止です」 藤内と孫兵の手には、二本の縄。その先に、目をきらきらとさせて小平太と文次郎の小競り合いを見ている左門と三之助。 獅堂に進むと聞いた藤内と孫兵の面倒をそれと無く見るようになった仙蔵は、二人が何故その縄を持っているか不思議でしょうがない。 「いつもは作が持ってくれるんですけど、今日は俺達で何とかしないと」 「そんなに、凄いのか」 「左門が決断力のある迷子で、三之助が無自覚な迷子です」 真剣な顔で孫兵と藤内が頷く。 その昔、どこでもすっ飛んでいく小平太を文次郎と長次、そして留三郎が引っ張っていた光景を思い出して少し笑ってしまう。 まるで自分達を見るかのような少年達に、留三郎が作兵衛を可愛がるわけが少し分かった気がした。 「に、しても遅いですね」 この場所で待ってろと二人がいなくなったのが一時間前。駅からなら十五分で着く場所だ。漸く対面できるさくらの君とすみれの君の事を考えて楽しみにしていたが、何だか気が抜けてしまった。 「作が時間守らないなんて珍しいな」 「何か、あったのかな」 「迷子か!」 「左門じゃあるまいし。…連絡してみようか」 ぱちり。藤内が携帯を開いたのと同時に、何か見つけた三之助がきらきらと目を輝かせる。 「来たみたいだぞ」 「え!」 藤内が顔を上げると、見覚えのある顔。そしてその隣には。 「おう、悪い!」 留三郎が軽く手を上げて、仙蔵たちに合図する。その声に、すっと視線は二人のいる方向に集まった。 どこか緊張している作兵衛と、なんとも言えない表情を浮かべた留三郎の後ろにいるのが、おそらく。 「や、電車がちょっと止まってたみたいで」 留三郎の言葉に、ぺこり、と頭を下げて「すみません」と言ったのは。 「あ、こちらの彼女が…」 「初めまして、善法寺伊作と言います」 胸を張ってすっと立った女性。身長が高い留三郎の隣にいても、そんなに小さくは見えない。亜麻色の髪をポニーテールにし、水色のチュニクと、カーキのクロップドパンツを身に纏った、すらりとした女性。 目は少しつりあがっているけれど睫は長く、鼻筋は通って、綺麗な形をした唇。綺麗だけれど、女性的と言うよりは中世的な、不思議な印象の女性だった。 その後ろに。 「大丈夫?」 伊作のチュニクの裾をぎゅっと持って俯いていた少女がゆっくりと顔を上げて。 「あ、あの……」 まず目に入るのはすみれ色したふわふわとした髪。シュシュで下の方を束ねて結んでいる。そして、伊作の印象とは違う、翡翠色したワンピース。レースとフリルがサイドについていてふんわりとしたスカートだ。その上に、レースのボレロを羽織っている。 大きな瞳と、少女にしては太い眉。下膨れの顔に、真っ赤な頬。その瞳には涙が溜まっていて。 「三反田、数馬、ですっ」 自分の名前を言った瞬間、ぼろりと涙を零した。 「大丈夫、大丈夫」 そうしてまた伊作の後ろに隠れた数馬の頭を撫でて、伊作はちょっと困ったように笑う。 「ここまでこれたんだから、数馬は強いよ」 伊作の言葉に数馬は首を横に振って、チュニクの裾をきゅっと握った。 「何だ、作が泣かせたのか」 「人聞きの悪い事を言うな!」 三之助の言葉に作兵衛が怒ると、数馬はびくりと肩を震わせる。 「すみません、この子、女子高育ちだから男の人との接点が殆ど無いんで…」 伊作の言葉に、その場にいた人間はああ、と納得する。どうやら箱入り娘らしい。これだけの男に囲まれた経験など無いのだろう。 「数馬」 「はい…」 「作兵衛君のお友達だもの、怖いはず無いじゃないか」 「分かって、るん、ですけどっ」 「なら私達が怖いのか」 「仙蔵?」 「見た目は成人男子と変わらないからな。ほら文次郎。お前の顔が怖いと泣き出してしまったぞ」 「俺限定の話か!」 「留三郎以外で言うと、お前の顔が一番怖い」 確かに、面倒見のいいと留三郎だが、その顔はかなり怖い。鳥羽工の食満留三郎と恐れられるのも頷ける。 「……………」 「そうだな! 長次の言うとおりだ!」 「へ?」 先ほどからもそもそと喋っている長次の言葉を聞いた小平太が人好きのする顔でにこにこと笑った。 「怒ってばっかりだと、余計に泣いちゃうじゃないか」 小平太はとことこと伊作と数馬に近付き、すとんとその場に座り込むと。 「初めまして、七松小平太だ!」 そう言って数馬の頭を撫でた。 その行動に驚いたのか、数馬は目をいつも以上に丸くさせて小平太を見ている。 「怖くないぞ! 何なら猫連れて来てやろうか?」 「猫さん……?」 「そうだ。長次! ちょっと猫を呼んでくれ!」 小平太は立ち上がると長次を見た。長次はと言えばその場でちちちちちと妙な低周波音を出して何かを呼んでいる。すると、どこからとも泣くなーおと泣きながら大小様々な猫が長次の周りに集まってきた。 「猫柳の中在家長次恐るべし…」 「本当に猫が呼べるんだ」 それを見ていた孫兵と藤内が不思議そうに長次を見ている。 「ほら、こいつなんか可愛いぞ」 でっぷりと太った雉猫をぶらりんと抱きかかえて、小平太は笑った。その顔を見て数馬は漸く笑う。 「すごいですねぇ…」 その雉猫を見ながら、伊作は驚いたように留三郎を見た。 「ま、年下の子の面倒見がいいのはあの二人だからな。三反田さんも笑ってくれたし」 「それより、留三郎。我々も紹介してくれないか」 「あ、そうだった」 そこで今日の予定を思い出す。さくらの君を見せろと言う幼馴染と幼馴染に会ってみたいと言うさくらの君を会わせる為に、今日はここに集まったのだ。 本当ならば幼馴染といえど会わせたく無かったのだが。 「こっちが立花仙蔵。獅堂の生徒会長。そっちのくまの濃いのが潮江文次郎。犬見の生徒会長。で、猫持ってるのが七松小平太。龍円寺の暴君って言ったらこいつだ。そんで猫呼んだのは、猫柳の中在家長次。神出鬼没な為、猫柳のフェアリーと呼ばれている」 「…おい、留三郎」 「何だよ」 「お前の紹介に悪意を感じるのは気の所為か?」 「あ? そのままだろう?」 またもや一触即発の空気を作る留三郎と文次郎に、伊作があわあわと慌てていると。 「ふむ、悪くない」 「へ?」 伊作の前に立った仙蔵が、じっと伊作を見る。 女の子にしては身長の高い伊作は、仙蔵を見上げるでもなく少し低い位置に視線がある程度だ。 「化粧も薄め、服も華美ではない。善法寺さんと言ったな」 「はい」 「私は立花仙蔵。困ったと事があったら、こいつではなく私を頼るといい」 「え?」 「そちらの三反田と言った彼女もだ」 「……え?」 「まあ、留三郎は厄介ごとの種みたいなものだからな。私ならば安全だろう」 「誰が安全だって?」 文次郎の胸倉を掴んだまま、留三郎がぎろりと仙蔵を見る。 「お前みたいな歩く武器庫みたいな奴に任せられるかよ!」 「ほう、ならばお前のような歩く武器みたいなのなら任せられると」 「う、うるせー!」 これは面白い。そう思ったのは正直な気持ちで、でも胸の奥にある気持ちも本物で。仙蔵はきらっきらの笑顔を作ると、伊作の手を取ってその甲に小さく口付けた。 「仙蔵!」 「これが獅堂の正しい挨拶だ。覚えろよ、藤内、孫兵」 「う、うぇぇぇぇ?」 「そんなの無理です!」 仙蔵の言葉に、藤内と孫兵はあわあわと慌てる。伊作は伊作で真っ赤になっていた。 「作ー」 「何だよ」 「あの子、紹介して」 作兵衛の頭にもたれかかるようにして三之助は数馬を指差した。 「……本当は、凄く嫌なんだけど」 富松さんのお友達に会ってみたいです。そう、彼女が笑ったから。綻ぶように笑ったから。だから、仕方ない。 「こいつらが、右から浦風藤内、伊賀崎孫兵、神崎左門、で頭に乗っかってるのが次屋三之助」 「あ、初めまして、三反田数馬です!」 作兵衛が指を指しつつ名前を言うと、数馬はぺこりと頭を下げる。三之助だけはよっと軽く手を上げた。 「作」 「何だよ」 「お前、ちょっと来い」 「藤内? 孫兵?」 数馬一人残していくのは気が引けたが、さくらの君こと伊作の傍にいるので安全だと思いたい。それよりもこちらが問題だ。 「作、正直に答えろ」 「何を…」 「あんな天然記念物、お前、ナンパしただろう?」 「はぁ?」 「だって、普通階段落ちかけるとかしないだろ?」 どうやら、作兵衛の人柄が疑われているらしい。藤内と孫兵は作兵衛を引き摺り、少し木陰に入ると三人は頭を寄せてひそひそと話し始めた。 「本当に階段落ちかけたのを助けただけだってば。それ以外にどうしろって言うんだよ」 「いや、あれだけお前の好みの女の子を見つけたんだ。ナンパしただろう」 「違うって!」 「あの、富松、さん」 ひょこり。 三人の話の輪の中に、突然すみれ色の髪が顔を出す。 「三反田さん」 「あの、ごめんなさい」 「え?……」 「止められなくて…」 「何を?」 「えっと、神崎さんと次屋さんが」 「あ……」 「雉猫さんを追いかけて行ったんですけど」 困ったように眉根を寄せるのは、あのファストフード店の中の時のよう。 こんな顔させるなんて、あの二人。いや、あの二人から目を離した自分達も悪い。 「食満先輩!」 「どうした、作兵衛」 「ちょっと迷子を捜してきます!」 その光景に慣れ親しんだ藤内と孫兵も辺りをきょろきょろと見回しつつ、先輩達に頭を下げて走り出した。作兵衛もその後を直ぐに追う。 「あれ、見つかるのか?」 文次郎が珍しく心配そうに留三郎を見る。そうすると、留三郎は大丈夫だろ、とだけ零した。話には聞いていたがいつのまにか迷子になってしまう性質らしい。 「数馬」 伊作がきゅっと数馬の手を握る。ぎゅっと握っていた手はもう冷たくなっていて、数馬は不安げに伊作を見上げた。 「ぼくが、もう少しちゃんと見ていれば…」 呻くようにそう呟くとその瞳からはぽたりぽたりと涙が落ちる。 「三反田さんの所為じゃないさ。幼馴染ってそんなもんだから」 「え?」 留三郎の言葉に、数馬はその顔を見た。 「男同士の幼馴染なんて、あうんの呼吸でなきゃやってられないもんなんだよ」 自分達を褒めているようで恥ずかしいが、本当にそんなものなのである。変な絆と言うか何と言うか。そんなものが生まれるものなのだ。 「作兵衛もそのうちひょっこり帰ってくるさ。ごめんな、知り合いが殆どいない中で」 作兵衛と言う知り合いを失った彼女には、伊作か留三郎しかいない。強面揃いの自分達では泣かせてしまうかもしれないけど。 「薄荷さんは優しいんですね」 数馬はごしごしと目を擦って、ふにゃりと笑った。 「薄荷さん?」 前回もそうだ。何故か、数馬は留三郎の事を薄荷さんと呼んだ。そんな通り名、今まで付いた事が無い。 「か、数馬! ご、ごめんなさい。僕、食満さんの名前知らなかったから、ずっと薄荷さんって呼んでて……」 「え?」 「失礼な事してごめんなさい」 謝る伊作に、そんな事は無いと言うけれど、伊作は頭を下げっぱなしだ。 「いや、別に、そんなの……」 それより、呼んでいた、と言う事は少なくとも自分の事を覚えてくれていたと言う事だ。三年も前の事なのに、それなのに。 何故か、それがとても嬉しい。 照れた様に笑う留三郎。それを面白くないと思ったのは他の四人で。 「きーめた!」 さっきの猫より不細工な猫と遊んでいた小平太はその猫を離すと、とことこと伊作に近付き。 「いさっくん」 「え?」 「私の事は小平太と呼んでくれ! 私はいさっくんと呼ばせてもらうから!」 構って構ってと大型犬のように真っ直ぐな瞳で伊作を見つめて。 「え、でも……」 「いいからいいから。留三郎だけずるいぞ! いつも女の子に興味ない…」 「ここここここここへいた! お前は少し黙ってろ!」 何か爆弾発言をしそうな小平太の口を塞いで、留三郎は真っ赤になる。 「そうだな、私は仙蔵と呼んでもらおうか」 「え……」 「仙蔵、お前、何言って……」 「こっちはもんちゃん、もんじ、へんたいと好きに呼んでもらえれば…」 「誰が変態だ仙蔵!」 「とまあ、こう言う遊び心の通じない男だから文次郎とでも呼べばいい」 「あ、この猫塗れは長次だ!」 「あ、あの、皆さん?」 突然の事に伊作は驚いている。同じように数馬も驚いている。と言うより怯えている。 「白桜の桜御前ともなれば、少しは他校にパイプを持っていても悪くは無いだろう?」 確かに、伊作は桜御前と呼ばれる。まあ、不運桜とも呼ばれるが、それは学園内だけにしておきたい。歴代の桜御前の中で不運桜と呼ばれるのは伊作くらいだろう。 「立花さんは、白桜の事をご存知で?」 「まあ、少しはな。それより、仙蔵で構わないと言った筈」 微笑む仙蔵はどこか妖艶な美女に似ていて。伊作は顔を赤らめた。 「おい、仙蔵」 「どうした、留三郎」 「お前、嫌に今回は首を突っ込むな」 「気の所為だ」 何が気の所為だ馬鹿野郎と愚痴を零しつつ、留三郎は伊作を見ると。 「こいつ、見た目は女みたいだけど、性格は最悪だから」 「そんな褒め言葉必要ないぞ」 「褒めてねぇ。ま、そんなヤツだけど力にはなるからさ。三反田さんも困ったときは頼って良いから」 「え……」 「そうだな、外で怖いお兄さんに絡まれたら私が助けに行こう!」 「………」 「長次が猫くらいならいくらでも呼ぶそうだぞ!」 何だか可愛い妹が出来たかのように喜ぶ小平太に毒気を抜かれた留三郎だったが、神妙な面持ちの仙蔵を見て。 「どうしたんだよ」 「白桜の今回の桜御前は面白いと聞いていたが…成る程、これはいい」 「は?」 「留三郎、男の友情は恋愛より軽いからな」 「え……?」 「私の本気を見てみるか?」 壮絶なまでに美しい仙蔵の微笑みに、留三郎は本能的にその視界から伊作を隠した。 「お前らなぁ!」 ごいんごいんと左門と三之助の頭に拳骨を落とすと、作兵衛は腕を組んで二人を見る。 「こんな大事な時に何やってんだよ!」 「そうだぞ! 作の初恋がかかってるんだぞ!」 「孫兵!」 「え、天然記念物さんのこと好きだよね、作?」 「三反田さんだ! 三反田数馬!」 「でも、あんな何と言うか擦れていないと言うか純粋培養の女の子って珍しいよね」 天然記念物、と言う孫兵の言葉は最もだと思いつつ、藤内はあのすみれ色の髪を思い出した。 「女子高ってあんな子ばっかりなのかな」 「違うと思うよ。彼女が多分特別なんだ」 安らぎの菫姫何ていう言葉を思い出して、孫兵が作兵衛を見る。 「作、大変だぞ。相手は天然記念物だぞ。絶滅危惧種だぞ」 「う、うるさい!」 腰に縄を巻きつつ真っ赤になった作兵衛は、怒鳴るように叫んだ。 「なぁ、作」 「何だよ!」 「今日から俺達」 「あ?」 「ライバルだよな」 本気の顔して、作兵衛の肩を叩く三之助に、作兵衛は有無を言わさずその鳩尾に拳を喰らわせる。 「ぜってーてめぇには近づけないからな!」 三之助の言葉は定かではないが、漸く来た難しい春にすみれの花が咲いた事を、藤内と孫兵は喜んでいた。 今日から好敵手? −−−−−−−−−− えーっともう大混乱ですね☆ とりあえず幼馴染と女子高組が出逢いましたよ、的な。 数馬は純粋培養の箱入り娘さんですよ。伊作はちょっと事情のある子なんですよ。 王子様はいっぱいいた方がいいですよね、何かと便利で(待て)。 伊作は女子高で王子様コスするとキャーキャー言われる類の人間です。 戻る |