これって一つの。







「三之助、いきなり集まれってどう言う事だよ」
 季節は夏真っ盛り。青い空の下、四人の少年達は待ち合わせ場所として有名なモニュメントの前に集合していた。
「藤内、それより先に言う事があるんじゃないか」
「孫兵、言うな」
 さっきからちらちらと視線を送る通行人に耐えながら、藤内は視線を三之助から逸らした。
 いつもなら、真っ先に突っ込んでくれる筈の彼がいない。彼がいないと言う事は、自分か孫兵が突っ込むしかないのだ。
「お前ら、変装しないのか?」
「しないよ! て言うか、三之助何だよその髪型!」
 藤内が、とうとう突っ込んだ。と言うより、突っ込まずにいられようか、と言うのが正しい。
「そのパーティーグッズを直ぐに捨てて来い!」
「え、でも変装って言ったらこれだろ?」
「どこの世界に、アフロを変装に使うやつがいるんだ!」
 三之助の頭はもふもふとした、アフロである。しかも、虹色。その大きさもかなりのもので、どう見てもパーティーグッズにしか見えない。
「しょうがないだろ。金髪とかハゲとかじゃ目立つし」
「金髪の方がまだマシだ!」
「えー、何もして無いお前に言われたくない」
「何で変装する必要があるんだよ!」
 友達と会うのに変装が必要だなんて聞いた事が無い。と言うか、変装している友達とは歩きたくないと言うのが素直な気持ちだ。
「見つかったらマズイからに決まってるだろ!」
「左門、それ外せ」
「え、でも変装って言ったら」
「街中でひげ眼鏡付けているのは変装とは言いません!」
 三之助だけならまだしも、左門も何故かひげ眼鏡をかけている。
 何があったのこいつ等に。藤内が頭を抱えていると孫兵がぽんと肩を叩いてくれた。
「とりあえず、アフロとひげ眼鏡は没収」
 そう言って孫兵が、三之助と左門から変装道具を取り上げる。
「ちょ、折角変装してるのに!」
「そうだ!」
「お前達のは変装とは言いません。藤内、これちょっとコインロッカーに預けてきてくれる?」
 孫兵は、アフロとひげ眼鏡を藤内に手渡すと、腕を組んで二人を見た。
 この二人の保護者は何故か今日は不在。三之助が召集をかけたなら来る筈なのに。それに、几帳面な彼の事だ。待ち合わせ時間の五分前にはついているのがいつもの事なのに。それなのに。
「預けてきたよ」
 藤内が戻ってくると、孫兵はご苦労様とちらりと視線を送る。その孫兵の前にはちょこんと正座した三之助と左門。これは変な意味で目立っている。藤内は慌てて三人に近付くと二人を立たせ、孫兵に落ち着いてと声をかけた。いつも冷静な孫兵は怒ると無表情になってしまう。はっきり言って怖い。
「まあ、ともかく。三之助、何でみんなを集めたんだ?」
 そうして最初の質問に戻った藤内の言葉に、三之助はおお、と手を叩いた。
「いや、デート現場をこいつでぱちっと…な」
 そう言って、三之助が取り出したのは携帯である。
「誰の?」
「作だよ」
「作兵衛? 何、あいつ、今日デートなのか?」
 今日ここにいない腐れ縁の一人、富松作兵衛。最近一目惚れとやらをしたらしく、その相手をさがしていたのだが先日見つかったらしい。らしいと言うのは、本人に会っていないし見つかったというメールが来ただけで、何一つ確証が無い。
「昨日、ちょっと買い物があるから付き合えって言ったら、断られてさ。これはもう、例のすみれの君に会うんだと思って」
 作兵衛は、かなり付き合いのいい人間である。自分の余程大事な用事が無い限り、付き合ってくれる。その作兵衛が、誘いを断った。三之助にしてみれば、これはもうすみれの君に会うんだと確信した訳だが。
「で、みんなで後をつけようと思って」
「ちょっと待て。それは、作兵衛のプライバシーの問題だろう?」
「甘いな、孫兵。俺達は五人で一つだ」
「そんな約束した覚えはない」
「じゃあ、孫兵は気にならないのか、すみれの君。あの作兵衛が一目惚れをした、女の子って」
「………」
 気にならないと言えば嘘になる。
 名前も顔も知らない、探していたすみれの君。その姿を拝みたいと思う好奇心は人として仕方が無いことだ。だが、後ろからひたひたと後をつけるのはどうかと思う。
「おばさんに聞いたら、今日ここで待ち合わせするって言うんで…」
「お前、そこまで調べるか?」
「いや、それは左門がやってくれた」
「さーもーん?」
「気になることは調べないと気が済まないだろう?」
 左門がえへんと胸を張って威張るが、藤内は落胆した。見つかった時どうすれば良いのだろう。作兵衛の怒りの沸点は高いが、着火してしまうと後を引く。
「大体、あいつが悪いんだよ。説明するとか言っときながら、何の音沙汰もなしで」
 確かに、見つかったメールからメールを貰っていない。
 それでもどうかと思っていたら。
「すみません、遅れました!」
 声が、した。
 作兵衛の声だ。慌てて近くの物陰に隠れると、その姿を探す。そうすると。
「気にするな、俺も今来た所だ」
 作兵衛に笑いかけたのは、長身の男だった。
「しかし、珍しいな。お前が遅れるなんて」
「電車一本乗り過ごしたみたいで」
 反射で隠れてしまった四人は顔だけ出して、その二人の会話を聞いている。
 (男じゃないか、三之助)
 (あれ、おかしいなぁ)
 (すみれの君って、男だったのか)
 (アホ左門。そんなわけ無いだろう)
 (……あれってさ、もしかして)
 (何?)
 (鳥羽工の食満留三郎、じゃないのか)
 (あの人が? 何かイメージ違うんだけど)
 (もっとがっしりした人だと思ってた)
 (俺も。作が憧れるくらいだから、どれだけ筋骨隆々かと…)
「とりあえず、そこに入るか」
「はい」
 どうやら移動する気らしい。二人が自分達に気付いて無いのをいい事に、なし崩しのまま尾行を続ける。そうして入ったのは、目と鼻の先にあったファミレスで。お客様は何名様ですか、と言う声に孫兵が四本の指を立てると、ちょうどいい具合に二人の死角になる席に案内してもらえた。
 とりあえず、ドリンクバーを注文して二人を見る。窓辺で何か話しているが、四人には聞こえない。たまに、食満先輩、と言う声が聞こえるくらいだ。
 (やっぱりあの人が、食満留三郎みたいだな)
 姿勢を低くしたまま、四人は会話を続ける。食満と言う苗字は滅多に無い苗字だ。おそらく、長身の細身の男が食満留三郎で間違いない。
 (何か、さわやかな兄ちゃんにみえるんだけど)
 (クマを倒したって噂、本当かな)
 (違う、それは龍円寺の七松小平太の噂だろ!)
 (そうなのか、三之助)
 (うん)
 (じゃあ、百匹の猫を集めたって言う…)
 (それは、猫柳の中在家長次)
 (噂に詳しいな、藤内)
 (え、みんな知らないのか?)
 ひそひそと喋っている四人は気付かない。じっと自分達を見る四対の視線がある事を。そうしているうちに、店員がすっと近寄ってきて。
「お待たせいたしました。チョコレートパフェでございます」
 かたりとよく冷えたグラスにこれでもかと言わんばかりに飾られたパフェを四つ、テーブルに置いた。
「え、注文してませんよ?」
 男四人でパフェを食べるなんて、そんな目立つような事したくは無い。今は気づかれないようにするのが精一杯なのに。
「あちらのお客様からです」
 すっと店員が手を差し向けた先には、何だか次元の違う人間達が座っている。
 一人はにっこりと笑って顎に手をあてた美人のお兄さん。一人は、目の下にくまのある苦虫を噛み潰したような顔をしたお兄さん。一人は、底抜けに明るく手を振っているお兄さん。一人は、ひどく不機嫌そうなお兄さん。
 誰一人顔見知りではない。間違いではないかと思って店員とその客を見比べていると、すっと美人のお兄さんが立ち上がり、二人には見えない絶妙なポジションを取りながら近付いてきた。
「あ、あの……」
 藤内が顔を上げて何か言おうとした瞬間、頭を押さえつけられて机に突っ伏した形になる。そうすると美人のお兄さんは自分の人差し指を唇に当てて。
 (お前達、富松の知り合いだな)
 綺麗な笑みで、そう言った。
 (あいつ等を追って、この店に入っただろう)
 どう言う事か分からない。と言うか、何故この人が作兵衛を知っているかも分からない。そして、自分達の目的を知っている事も。
 (仙蔵、こいつらで間違いないのか)
 美人のお兄さんの後ろから、くまのあるお兄さんが現れて、左門の隣に座った。四人が案内されたのは、机さえくっつければゆうに十人は座れる席だ。明るいお兄さんと不機嫌なお兄さんが音を立てないように机をくっつけて、お兄さん達は四人の隣を陣取る。
 (あ、あの…)
 藤内が顔を上げてちらりと美人のお兄さんを見た。
 (立花、仙蔵さんですか…?)
 さっき、くまのあるお兄さんが、美人のお兄さんを仙蔵と呼んだ。この界隈でこれだけ美人で何と言うかオーラをかもし出す仙蔵と言う人間は一人しか思い浮かばない。しかも、作兵衛を知っているとなれば、その可能性はかなり高かった。
 (ほう、よく私の名前が分かったな)
 やっぱり。
 かちん、と藤内と孫兵の顔が固くなる。
 それもそうだ。自分達が進もうとしている学校の生徒会長。その上かなりの有名人ときている。緊張しないわけが無い。
 (やっぱり、あのチビの同級生か)
 三之助の頭をぐりぐりと撫でながら、明るいお兄さんが笑う。
 (私は分かるか?)
 にっこりと笑った顔には邪気が無い。誰だろう。知らない顔であるのは間違いないのだけれど。
 (やめておけ、小平太)
 (だって、仙蔵だけ分かるなんてずるいじゃないか)
 (仙蔵は特殊だ。お前と一緒にするな)
 くまのあるお兄さんは、ちらりと隣の左門を見る。左門といえばじーっとくまのあるお兄さんを見上げていて、ぽんと一つ手を打った。
 (犬見の生徒会長さんだ!)
 (しぃ! 声が大きい左門!)
 孫兵が左門の口を塞ぐと、もがもがと何か言いたそうに孫兵を見た。
 (文次郎までずるい!)
 (あの…)
 頭をぐりぐりと撫でられていた三之助が、ちらりと明るいお兄さんを見て。
 (七松、小平太さんですか?)
 (私がわかるのか!)
 (まぁ)
 話の流れから行けば、そうであろう。犬見の潮江文次郎と龍円寺の七松小平太で間違いない筈だ。
 (私も捨てたものじゃないな、長次)
 (…………)
 不機嫌そうなお兄さんは、小平太の言葉にこくりと頷く。ここまで揃っているのなら、もしかするともしかする展開。
 そう思った孫兵は、そっと口を開いて。
 (中在家長次さんですか…?)
 そう言った。
 その問いに、不機嫌なお兄さんは再びこくりと頷く。
 作兵衛、大変な事になっているぞ。
 窓際でああでもないこうでもないと話している二人をちらりと見て、藤内はそう心の中でぼやいた。
 確か、食満留三郎は立花仙蔵と潮江文次郎と幼馴染だと言っていた筈。そうなると、七松小平太と中在家長次も幼馴染の可能性が高い。
 (ともかく、お前らはそれを食え)
 文次郎がアイスが溶け始めているパフェを指差した。
 (え、でも…)
 (私達のおごりだ。気にする事は無い)
 (でも、俺達、そんなおごられるような事してません)
 (生徒会長さんが言ってるんだ、食おう)
 こんな時、左門の決断力の早さが羨ましくなる。スプーンを手に取った左門は柔らかくなったアイスを掬うと、口に運んだ。
 (いいんでスか?)
 ちらりと見上げた小平太はにっこりと笑って。
 (私達は、もう二杯ずつ食べたからな!)
 (へ?)
 男が四人、パフェ八杯。なんて苦行? 確かに、ここのパフェは美味しい。それは認めよう。だが、二杯も一度に食べるなんて荒行過ぎる。
 (時間稼ぎだ。食え)
 三之助にスプーンを握らせると、小平太は文次郎の言葉に頷いた。
 (何の時間稼ぎですか?)
 (あいつらが誰を待っているか、確認する為だ)
 有無を言わせぬ笑みで仙蔵は、孫兵と藤内にスプーンを握らせる。
 ああ、もうやけくそだ!
 そう思いつつ二人は生クリームを掬って、口に運んだ。
 (まあ、あいつ等を追って来たと言う事は、目的は一緒だろうからな)
 すいっと視線を投げる仙蔵に、四人はどきりとする。
 (………さくらと、すみれ)
 ぼそぼそと長次が呟いた言葉に、四人は目をかっぴらいて隣の四人を見た。
 (お前達も知っているんだろう? あいつらが妙な呼び名の少女を探している事を)
 何もかもお見通し。そんな感じだ。年齢が三つも違うとこんなにも落ち着けるものなのだろうかと思ってしまう。
 (ともかく、名前を聞こうか)
 文次郎がちらりと隣を見ると、左門がぴゃっと反応して。
 (神崎、左門です)
 そう答えた。
 (神崎左門だな。他は?)
 (伊賀崎孫兵です)
 (浦風藤内です)
 (次屋三之助、です)
 どうしよう、さっきから変な汗が止まらない。何に目を付けられてるの、俺達。て言うか作兵衛この状況どうするつもりだ!
 チョコレートのアイスを口に運んだ藤内が、隣の仙蔵を見て引きつった笑みを浮かべる。
 (ふむ、神崎と伊賀崎と浦風と次屋だな。富松の同級生で間違いないな?)
 (はい…)
 逃げられない。そう悟った四人はもくもくとパフェを食べながら、仙蔵の質問に答えた。
 (富松が、すみれの君という名の白桜の生徒を探している事も)
 (知ってます)
 (じゃあ、さくらの君の事も)
 (聞きました)
 (見つかった事も)
 (知ってます)
 とは言え、すみれの君もさくらの君も名前すら知らない。見つかったと言う情報だけを頼りに今日はこんな所で、パフェを食べているのだから。
 (どうやら、俺達と同じらしいな)
 文次郎が仙蔵を見ると、仙蔵はこくりと頷く。
 (名前は聞いたか?)
 (いえ…)
 その時だった。
「何やってるんだ、お前ら」
 聞き覚えのある、声。その声は間違いなく。
「よう、作兵衛、偶然、だな!」
 藤内がカタコトの日本語で手を上げると、額に青筋を立てた作兵衛が口角を上げて立っている。その隣には。
「どう言う事だ、お前ら」
 同じように青筋を立てた、食満留三郎、その人がいる。
「別に、私達がここで何をしていようが自由だろう?」
 ぽきぽきと指を鳴らす留三郎に対して、仙蔵は涼しい顔でそう言った。
「ほう、それにしちゃ、見慣れない面々がいるみたいだが?」
「後輩育成だ。お前だって似たようなものだろう」
 それ、と指差された作兵衛は仙蔵に一礼をすると、ちらりとパフェを食べている四人を見る。
「どう言う事だ、藤内」
「いや、ほら、俺達、獅堂を受験するだろう? だから、こうやって先輩の意見を、なぁ、孫兵!」
「ああ、立花先輩に偶然お会いしてだな、なぁ、左門」
「パフェ美味いぞ!」
「それは良かったなぁ、左門?」
 作兵衛は、とりあえず傍にいた藤内の肩を掴んだ。
 俺、殺されるかな。
 額から汗が流れる。冷たいパフェを食べている筈なのに、おかしい。
「作兵衛、そいつらは?」
「腐れ縁の同級生です」
「そうか、偶然だな。こっちは、俺の幼馴染だ」
 奇しくも、さくらの君とすみれの君を探していた、顔も知らないはずの留三郎の幼馴染と作兵衛の腐れ縁。それが勢ぞろいしている。考えられる事は、唯一つ。
「お前ら、後をつけてたな?」
「何か悪いか?」
「開き直るな、文次郎!」
「せっかくさくらの君とやらを探していてやっていたのに、見つかっただけで後は連絡を寄越さなかったお前が悪い!」
「んだと!」
 胸倉をつかみ合う留三郎と文次郎を見て、腐れ縁たちははらはらしているが幼馴染達は涼しい顔である。
 その中でひっそりと携帯を取り出して、赤外線通信をしているものが二名。
「何やってんだ、三之助!」
「小平太! お前!」
「いや、情報交換には必要かなって」
「ちょうどいい、富松、お前も交換しよう!」
 通信が終わったのか、小平太は嬉しそうに携帯を作兵衛に向けてくる。
「作兵衛! 交換する必要ないぞ!」
 そう言っている間に、わらわらと各自が赤外線通信を始めていて。
「ちょ、左門! お前!」
「作! 犬見の生徒会長さんの連絡先だ!」
 目をきらきらさせた左門が携帯の画面を作兵衛に見せる。
「ちょうどいいじゃないか、ここにいる全員連絡先を交換すれば」
 仙蔵が藤内と赤外線通信をしながら、すいっと留三郎を見た。
「はぁ?」
「お前達の為に、走り回った同胞達だからな」
 それを言われると言葉が出ない。あの時は、さくらの君とすみれの君の情報が欲しくて、恥も外聞も投げ捨てて協力を要請したのだから。
「富松、交換」
 左門に負けずきらきらとした目の小平太に逆らう事が出来ず、作兵衛は携帯を取りだす。
「作兵衛…」
「助けてもらったのは、本当ですから」
 ぴ、と赤外線通信のボタンを押して、留三郎を見る。すると、仕方ないとばかりに溜息を一つ付いて。
「お前、名前は?」
「浦風藤内です」
 とりあえず傍にいた藤内に声をかけて、携帯を取り出した。
「あの、俺と交換してもいいんですか?」
「作兵衛の友達だ。変な奴なんていないだろう?」
 鳥羽工の食満留三郎。ずっと、ずっと怖い人だと思っていたのに。それに、噂に聞いていた人たちとは違う目の前の人たち。
 無邪気で、明るくて、どこかおかしくて。
「ともかく、お前達は席を移せ」
「何で!」
「聞かせてくれるんだろう、さくらの君とすみれの君の話を」
 にやりと笑った仙蔵。
 その笑みから、幼馴染達は誰も逃げられない事を知っている。
「あー、もう! てめぇら!」
 留三郎はがしがしと頭を掻いて。
「作兵衛、荷物持ってくるぞ!」
「あ、ちょっと待ってください。もう直ぐ通信が終わるんで」
 気が付けば長次と連絡先を交換していた作兵衛が、あわあわと慌てている。それを見た留三郎は再び大きく息を付くと、作兵衛の頭を撫でた。
「俺が、持ってくる」
「え、いいですよ!」
「いい、お前はとりあえずそいつ等と連絡先交換してろ」
 吹っ切れたように笑った留三郎を見て、作兵衛も笑う。その笑顔を見て、腐れ縁たちは胸を撫で下ろした。
 (とりあえず、作兵衛は怒ってないな)
 (多分)
 これから先、どうなるかは分からないが、今は怒っていない。
 それだけで十分だ。
 二人は顔を合わせて笑うと、それぞれまた赤外線通信に戻っていった。





「じゃあ、まず、さくらの君とすみれの君の名前から聞こうか?」




 君たちのことが心配だから。
 君たちが何をするか心配だから。
 見守ってやろうって言う、これも一つの。








友情だから!










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野郎ばっかりですみません(土下座)。
漸く全員揃ったぞ編です。
とりあえず、「あちらのお客様からです」って言うのが書きたかったので。
絵心があれば、きらびやかな仙蔵様をお届けできたんですが無理でした。
脳内変換をお願いします。
CPっぽいものを書いてると、こんなものを書きたくなる罠。



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