名前も知らない、君へ。








 カリカリと走るシャーペンの音。唸りながら首を振る扇風機。この部屋には、文明の利器であるエアコンなど存在しなかった。
 その部屋の主は、開けた窓辺に座ってぱたぱたとあひる印の団扇で自分を仰いでいる。
「先輩」
「ん」
「先輩って、誰かと付き合った事、あります?」
「は?」
 解いている問題の質問ではなく、よりにも寄って自分の身辺の話題、特に苦手とする異性との付き合いを聞かれて部屋の主、食満留三郎はひくりと口の端をつりあげた。
「どうした、作兵衛。暑さで頭やられたか?」
「いや、ちゃんと機能してますよ」
 この部屋で勉強するようになって早三年。
 最初の一年は、死んでしまうのではないかと思ったりもしたが、今ではなんてことは無くなってしまった。人間の適応能力恐るべし。
 作兵衛が留三郎と出会ったのは中一の春。良からぬ輩に絡まれているのを助けてもらったのが切っ掛けである。その時の留三郎は、惚れ惚れするほど男らしく、一瞬で作兵衛の憧れの人になり、それは、今でも変わらない。男気溢れるその気質を慕う後輩たちも多いと聞く。作兵衛はその後輩になろうと必死に努力をしているが、その努力が報われる事は無い。留三郎は今年高校三年生。作兵衛は中学三年生。二人とも受験生だ。同じ学校に通うとなれば大学まで同じ所へ通わなければ無理な話である。
 それでも作兵衛がこうやって留三郎の部屋で勉強できているのは、一重に留三郎の人柄のお陰と、作兵衛を可愛がってくれているからなのだろうと、作兵衛は思っている。
「それとも、本当にホモなんですか?」
「ば、おま」
 食満留三郎はホモである。作兵衛が受験を受ける学校では有名な話だ。
 外見良し、性格良し、頭はまあまあだが、女子に好かれる要素はたくさんある。実際、街中で告白されているのを見た事があるし、噂によればバレンタインのチョコは三桁まで行かずとも、それに近い数を貰っているらしい。
 その留三郎に、女の影は無い。片思いの少女達にすれば好都合なのだろうが、如何せん年齢が年齢だ。今まで誰かと付き合った武勇伝の一つもなければ、あまりにも悲しい青春だろう。それが男子校なら尚更だ。
 その結果、食満留三郎は男にしか興味がないなどと言われ、ホモのレッテルを貼られているのである。しかもここ数年、作兵衛が一緒にいる所為か、恋人だと思われているらしい。迷惑な話だと作兵衛は毎回思っていた。ただ、単に女性が苦手なだけなのを知っているが、作兵衛は他に相談する人もおらず、最後の手段と留三郎に相談したのである。
「どうした、告白でもされたか?」
 こほん、と咳払いをして留三郎が作兵衛を見た。
 かた、とシャーペンを置いて作兵衛はため息を一つ。
「そんな先輩みたいな事はありませんよ」
「じゃあ、どうした」
 留三郎にとって告白は日常茶飯事らしい。簡単にスルーされてしまうと物悲しいが、作兵衛はそれを気にせず、重い口を開いた。
「助けたんです」
「犬か猫を?」
「人間です! その、階段を踏み外して落っこちそうになった人、を」
 あの瞬間の事は今でも思い出せる。
 自分の片手で支えられてしまった、あの軽さ。
 触れた事のない、柔らかな体。
 ふわふわの砂糖菓子みたいな髪。
 そして、石鹸の匂いのするハンカチ。
「その、別に礼とか欲しいわけじゃないんですけど、その、ハンカチを貸してくれて」
「ふぅん?」
「それ、返したいな、と思って」
 そう言っただけで作兵衛顔が赤くなる。それを見た留三郎がにやにやと笑った。
「色気づきやがって」
「ち、ちが…」
「その子に一目惚れしたのか?」
「一目惚れとか、そんなのじゃなくて、ただ、すっげぇ可愛い子で、えっと、いや、その眉毛太かったし、なんていうか柔らかくて、良い匂いがして…」
「あのな、作兵衛」
「はい…」
「世間一般では、それを一目惚れって言うんだよ」
 にやにやと笑いながら、留三郎はぱたぱたと団扇をあおいだ。
「作兵衛にもやっと春が来たか」
「ちちちちちちが…」
 留三郎としては、赤飯を炊いてやりたいところだが、あいにく赤飯の炊き方を知らない。自分の恋人などと思われて可哀相に思っていたところだ。浮いた話の一つや二つ出てきてくれた方がありがたい。
「照れるな照れるな。で、その子の名前は?」
「聞き損ね、ました…」
「なんだ、それでハンカチ返したいとか言ってたのか」
「だって、借りたものは返すのが筋ってもんでしょう」
 なんて事だ。昔の自分に良く似た奴だと思って可愛がってきたが、こんな所まで似なくても…と少々神様と言うものを呪いたくなる。
 まさか、同じ轍を踏む阿呆がこんなとこにいようとは。
 こうなったら、何が何でももう一度作兵衛をその子に会わせてやりたい。来年、自分の高校に入って、二代目食満留三郎などと言われてはあまりに不憫だ。
 自分はもう、良い思い出だと思えるような気がしているのに。
「なんか手掛かりはないのか?」
「ハンカチと、先輩がいるって事と、この近辺じゃ見た事のない制服…?」
「制服だったのか!」
「はい」
「それを早く言え!」
「だだだだだって、制服とかあんまりわかんねぇし」
 制服は大きな手掛かりだ。どこの制服か分かれば、探しやすい。まぁ、わかったとしてもその学校の正門でじろじろと見回していれば変質者扱いは間違いない。それでも、情報がないよりマシだ。
「ともかく、どんなのだったか思い出せ」
「え、えっと……」
 どんな制服だっただろう。
 水色っぽかった。うん。でもブラウスじゃなかった気がする。セーラー服っぽい?
 意外に器用な作兵衛はさらさらとノートに制服の形を描いていく。
「このタイプの制服は、確かに見た事ねぇな」
「ですよね」
 水色のワンピースタイプの制服。セーラーカラーで腰の辺りをベルトで締める様になっている。
「ちょっと待てよ」
 留三郎は、あひるさん印のストラップがついたシルバーの携帯を机の上から取ると、何度かボタンを押して誰かに電話をかけた。
 少しの無言。それから。
「おー、突然悪ぃな。んな事で怒るなよ。は? 違うって。うん。まぁ、な。じゃなくて、お前さ、今暇? 暇だよな。いいから俺んちまで来い。徒歩数分の圏内で文句言うんじゃねぇ。エアコンなくても死なん! おお、頼むわ」
 随分と粗野な言い方だが、これが留三郎の素だ。その留三郎が素で話すと言う事はかなり中が良い人間に電話したと見える。
「誰か、呼んだんですか?」
「おお、助っ人だ」
「助っ人?」
「まあ、ちょっと性格には問題があるが頼りにはなる」
「へー…」
 留三郎の友達といえば、同じ高校の人間を見かけた事がある。もれなく、屈強と言うにふさわしい人物ばかりだった事は記憶に新しい。その人間が頼りになるのだろうか。
 どう、頼りになるんだろうか。
 そんな事を考えていると、玄関を開ける音がして、すたすたと言う足音が聞こえる。そして。
「暑い!」
「夏だからな」
「お前はいい加減エアコンの一つも付けろと言っているだろう!」
 さらりと長い髪。下手な女性よりキューティクル成分が多いのではなかろうかと思われるほど、美しい髪だ。それに、ほっそりとした体躯に白い肌。切れ長の瞳に、薄い唇。留三郎とは違う美人な男前だ。
 とてもではないが、留三郎の友人には見えない。
「全く、私をパシリに使うとは良い度胸だ」
「しょうがねぇだろ。冷蔵庫にアイスがねぇんだから」
 コンビニの袋を留三郎に手渡すその男と目が合った。
「何だ、お前、とうとうこんないたいけな子供に手を出したのか」
「違うわ! ボケ! 話した事あるだろう。富松作兵衛」
 名前を呼ばれ、作兵衛はどうも、と頭を下げる。
「ああ、お前が高一の時の」
「そう。ああ、作兵衛、こいつは立花仙蔵。俺の幼馴染だ」
「え!」
「何だ、その意外そうな顔は」
「いや、その…」
「お前の言いたい事はよく分かる。何故、こんな粗野な人間に私のようなのが一緒にいるのか気になるのだろう」
 その通りだった。
 どう見ても、趣味が合うとは思えないし、性格も正反対だ。ぼけ、と仙蔵を見ていると、ひやりと冷たい感触。
「ソーダ味でいいな」
「はい」
 有名なメーカーのアイスを手渡され、留三郎と仙蔵にどうもと頭を下げた。
「このクソ暑い部屋でバニラアイスなど食べたらもたれる」
「うるせぇ。お前はこれだろ」
 そう言って留三郎が仙蔵に手渡したのは、オレンジフロートと木のスプーン。洗練された仙蔵とはかけ離れた庶民的なアイスだ。
 留三郎の手には、いちごフロートと木のスプーン。
 その一瞬で、ああ、この人たちホントに仲が良いのだと作兵衛は思った。
「で、私に何の用だ」
 さくさくと木のスプーンでオレンジフロートを崩しながら、仙蔵は留三郎を見る。
「いや、お前なら見覚えあるんじゃないかと思って」
「何を?」
「これ」
 そう言って留三郎が仙蔵に見せたのは、作兵衛が書いた制服の覚書。
「…お前、女装の趣味でもあるのか?」
「違う! この制服の学校、知らないかと思って」
「ふむ、珍しいタイプの制服だな」
 しばらくその覚書を見た後、仙蔵は片手を顎に添えて。
「私の記憶が確かなら…」
「確かなら?」
「その前に、どうしてこの制服の学校を探る必要がある?」
「いいじゃねぇか、そんな細かい事」
「腐れ縁とは言え、私の友人にストーカーは必要ない」
「誰がストーカーだ! こいつが、その制服を着た子を助けたんだよ」
 二人の会話に入って行けず、がじがじとアイスをかじっていた作兵衛の頭を掴んで、留三郎は自分がストーカー予備軍では無い事を証明する。
「それで?」
「それで、……なんで、ハンカチ?」
 そう言えば、何故ハンカチを借りたのかも聞いてはいなかった。
 作兵衛は、あの、としどろもどろになりなら。
「腕、かすり傷だったんですけど、血が出て、それで巻いてくれて……」
 思い出すたびに心臓がドキドキする。顔が赤くなってしまう。
「そのハンカチを返したいんです」
 白いハンカチ。後から知ったが、どうやら花の刺繍はビオラと言う花らしい。それをどうしても返したい。
「でも、名前も分からなくて、制服くらいしか手がかりがなくて…」
 だんだん尻すぼみになる作兵衛を見て、仙蔵は噴出すと丸くなって爆笑し始めた。
「あ、あの…」
「笑うんじゃねぇ!」
「いや、流石、お前の後輩だ! ここまで一緒だと、ははははは!」
 何がおかしいのか分からないが、仙蔵の笑いは止まらない。その笑いに比例するように留三郎の顔は赤くなっていく。
「作兵衛、気にしなくていいからな!」
「はぁ…」
 ひとしきり笑った後、仙蔵は少し溶けたオレンジフロートを口に運び、それでもおかしいのか含み笑いをして作兵衛を見た。
「これは、白桜女子、だな」
「はくおう?」
「知らないのか? 有名な女子高だ」
 名門校だぞ。
 はっきり言って作兵衛はその女子高を知らない。自分の学区内ではないと言うのもあるが、留三郎同じく、めっぽう女子が苦手なのだ。
「確か、あそこの夏服がこんな感じだったと思うが…」
「白桜か。厄介だな」
「え…?」
「うちの高校の連中は目を付けられてるんだよ。まあ、男子校だしな。だから、うちの高校は白桜には近付けないんだ」
 だから知らなかったのか、と留三郎は一人で納得する。
「しかし、どうするつもりだ? あそこはある意味難攻不落だぞ。あちら側からアプローチをもらわないとらちがあかない」
「俺、二、三人くらいしか声かけられたことねぇぞ」
「私は五人だ。勝ったな」
「うるせぇ」
 二人の会話は、年頃の男子にとっては垂涎の的だろう。あの、白桜女子の子から声をかけられるなんて! と驚くに違いない。
「あの、食満先輩」
「ん?」
「無理、なんですかね」
 暑さで溶けたアイスがぽたりと机の上に一滴落ちた。
「何ていうか、あの子を助けられたのが奇跡みたいなものなんですかね…」
 すみれ色の髪をした、くるりと大きな目の華奢な女の子。
 自分の女の子の概念をひっくり返した、奇跡みたいな女の子。
 もう一度会いたいと願った女の子は、今まで生きてきた中であの子だけだ。
 せめて名前でも聞けば良かった。
 そうすれば、どうにかして、この場合正面突破必至だが、会う事が出来たかもしれないのに。
 俯いてしまった作兵衛を見て、何か思ったらしい仙蔵は溜息を一つ付いて。
「仕方ない」
「仙蔵?」
「あの頃と私達は違う。そうじゃないか、留三郎」
 幾つものチェーンがついた白い携帯をポケットから取り出すと、メールを打ち始める。
「何とかして、白桜の人間に連絡をつけよう」
「え!」
「お前、彼女でも出来たのか?」
「阿呆。それなりの連絡網があるだろう。文次郎辺りにでも頼めば」
「げ」
「そう嫌な顔をするな。あいつはあれでも結構使える」
 そう言えば、あいつも白桜から二、三人だったぞ。そんな風に意地悪く笑う仙蔵の頭を留三郎はぱーんとはたいた。
「貴様、人の頭を何だと思っている」
「うるさい」
「どうせ五人の私には勝てないのだから諦めろ」
 一体この先輩達はどう言う人間なのだろう。
 前に、勉強を教わっているのが鳥羽工業高校の先輩だと話すと、一気に引かれたことがある。それはそうだ。入学するのにはそれなりの頭が必要なのと、気性が激しいので有名だ。学校見学に行くと、何故か割れていた窓ガラスを思い出す。
 そして仙蔵は、運良く制服を着ているので分かったのだが、友人の一人が進学を目指す有名な進学校、獅堂高校の生徒のようだ。
 訳が分からないが、はっきりしている事は唯一つ。
 この先輩方はとても世話焼きで、自分の為に動いてくれようとしている事。
 女の子に名前の一つも聞けない、不器用な自分の為に。
「先輩方」
「ん?」
「どうした?」
「この礼はきっちりさせていただきます」
 突然正座をして、土下座をした作兵衛を見て留三郎はお前なぁと頭を撫でて、仙蔵は面白いものを見つけたように笑った。
「そうだな、それでは富松にも探してもらおうか」
「何を、ですか?」
「三年前、この馬鹿が脱臼してまで助けた女子」
「仙蔵!」
「いいじゃないか。もしかしたら、富松の連絡網にいるかもしれないぞ」
「食満先輩…?」
 まさか、と作兵衛の顔に書いてあるだろう。
 あの、硬派な留三郎が脱臼してまで助けた女子。そんな人がいるなんて初耳だ。
「気にするな、作兵衛! いいか、絶対気にするなよ!」
「でも…食満先輩、探してるんじゃ」
「俺はいいから! お前の方を探してやる」
「お前は、諦めたのか? さくらの君を」
「……………」
 赤くなったり青くなったりしていた留三郎が、不意にぴたりと動く事をやめる。
「少しつり目の、亜麻色の髪の女子だ。年齢は私達とそう変わらない。知らないか?」
 誰かの姉などでもいい。情報が欲しい。
 仙蔵はそう言った。
 その言葉に、留三郎は反論しなかった。おそらく、まだその人を探しているのだろう。
 その時気付く。留三郎に浮ついた噂が無かった訳に。何てことは無い、その人を探していたからだ。
 覚悟は出来た。
 作兵衛は、きっと二人を見て息を大きく吸うと。
「分かりました。男、富松作兵衛、さくらの君を捜して見せます」
「作兵衛!」
「だって、俺だけ探してもらうのじゃ悪いじゃないですか」
「悪くない。年上には甘えておけ!」
「そうは行きません。食満先輩にはお世話になってますから」
 いつもそうだ。助けてもらってからずっと、留三郎には世話になりっぱなしだ。いつかこの恩を返せたらいい。いつも作兵衛はそう思ってきた。
「面白いな」
「え?」
「お前、アドレスと携帯番号を教えろ」
 仙蔵はそう言いながら赤外線通信の準備を始める。
「あ、はい」
 そう言われ、作兵衛は紺色の携帯を取り出して、仙蔵の携帯と赤外線で通信する。そうすると、自分の携帯の液晶に立花仙蔵の文字。
「この馬鹿がわからない事があったら、私を頼るといい」
「誰がお前みたいな性格悪い奴に作兵衛を任せられるか」
「ふん、女一人探すのに三年かかっている奴に言われたくは無い」
「う、うるせぇ!」
 作兵衛にとっては珍しい光景だった。
 あの尊敬してやまない留三郎が、まるで自分のように感情豊かに友人と喋っている。その姿を見て、本当にさくらの君と呼ばれた人を探したいと思った。
「しかし、名前が分からないと呼ぶのに困るな」
 ふむ、と仙蔵は顎に手を当てる。
 仙蔵の考える時のクセなのだろう。さっきから何度もその姿を見ている。
「何かその少女に特徴はあるか?」
「あ、えーっと、すみれ色の髪で、目が大きくて、眉毛が太くて、細くて、白くて、柔らかくて…」
 作兵衛が記憶の中の少女の特徴を挙げていくと、仙蔵が再び噴出した。
「あ、あの?」
「いや、悪い。本当にお前は留三郎に似ている」
 (薄い茶色の髪で、少しつりあがった大きな目で、桜のハンカチで、細くて、白くて、柔らかくて…)
 三年前の留三郎と同じような事を言う作兵衛に、仙蔵は目を細めると。
「すみれの君、でいいか」
「仙蔵!」
「いいじゃないか、分かりやすくて。それでいいだろう、富松」
「あ、はい」
 すみれの君。そんな呼び方がついただけで心臓がまたどくりと脈打った。
 その時、控えめな着信音が一つ。
「お、返信だ」
「お前、誰にメールしたんだよ!」
「とりあえず、文次郎と小平太と長次」
「フルメンバーじゃねぇか!」
「こんな面白い事を私一人で楽しむわけには行くまい」
「じょ、冗談じゃねぇぞ!」
「諦めろ」
「作兵衛!」
「はい?」
「逃げろ」
「へ?」
「いいか、奴等の手が届かない所まで逃げろ!」
「遅いな、留三郎。既に連絡先は入手済みだ」 
 留三郎がちっと舌打ちすると、また控えめな着信音が鳴る。
「楽しくなってきたな」
「俺は楽しくねぇ!」
 そんなやり取りを見ながら、ほんの少しだけこの人たちに任せて大丈夫だろうかと作兵衛は思ってしまった。







 すみれいろしたきみへ
 きみのなまえをしりません
 だから、いまだけは、きみのことを




 すみれの君と呼ばせてもらいます。







すみれの君










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作兵衛は相談する人を間違えたと思いました。
そして、何故か留三郎の幼馴染に仙蔵を置いてしまいました。
野郎ばっか書いて寂しくなりました。
女の子を補給しなければ!




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